『利休にたずねよ』 映画

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伝説の茶人、千利休切腹までを描いた映画



切腹当日から始まり、過去を遡り、そこから切腹当日に近づいていき最後に切腹で終わるという構成

織田信長にも豊臣秀吉にも茶の才能を認められた利休は「美しさ」だけを求め続けた

しかしその途中には娘の死や愛弟子の死など、さまざまな悲しみがあった

そして彼の美の原点ともいえる「美しさ」のみを求め続けたその理由がクライマックスで明らかになり、切腹という形でフィナーレを迎える




利休には想い人がいた

それも生涯絶対に結ばれることのない人

利休の人生はその人を求め続ける苦悩の人生だったといっても過言ではない

そしてそれを知りながら利休を支え続けた妻の宋恩

利休が死ぬまでそれを聞くことはなかった彼女もまた苦悩の人生であったのではないだろうか

最後に「私がずっとたずねかったことは、、、」
で終わるのだが、そこがとても胸を締め付ける

一番欲しいものを手に入れることができなかった利休と宋恩の人生は果たして幸せであったのだろうか




間違えなくこの作品のテーマは「美」である

「美」とはどこにでもあるもの、気づくもの、人それぞれ感じ方が異なるものである

人間が美しいものに惹かれるのは間違いない

実体のないものであるから不思議である

しかしただひとつ言えることは、どんなものでも美しいものこそ真理なのである

日本ならではの「美」が、映像や音楽などを通してふんだんに表現されている

利休が生きたこの時代に生まれたのならば、こんなに発展した現代という世の中よりもこころだけは美しくなるのではないか

そんなことを思う

普段なにげなく生きてる我々には自分を表現する方法がない

ないわけではないが表現してるという実感が得られていないだけなのかもしれない

しかし悲しみ、苦悩、別れ、死、そして愛すらも「美」で表現した利休は、まさに至極の芸術家である

そんな利休がうらやましい

私は芸術家にはなれないがきっと表現者として世の中になにかを放つ




「美」の素晴らしさとそれにより彼が表現したものをこころの細部まで染み込ませてくれる映画であった